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株式会社シグマソリューションズ

「レセコンシステムにアイエニウェアの組み込みDBでOEM展開を実現

 2005年 WEDGE 4月号掲載

患者の同意があって初めて、薬局は服薬の指導ができ、その報酬を求めることが可能になる。」こんな当たり前のことが今、やっと本格的に実施されるようになってきた。2000年4月、厚生省(現厚生労働省)が定めた「服薬指導新算定方法」を受けてのものだ。

これを当初から提唱し、薬局支援のためのシステム(レセプトコンピュータ=レセコン)として開発してきたのがシグマソリューションズだ。2001年に発売した「パナシア」は、後算定や2次元コード入力の実現で、調剤薬局経営の効率化と法令順守を両立した業界初めてのレセコンとして大きな注目を集めている。

2次元バーコードによる効率化で「後算定でも速い」レセコンを開発

調剤薬局が患者に請求する費用は、大きくは基本料、薬剤量、技術用の3つに分かれる。この技術料の中には「患者に医薬品の情報を提供した、飲み方のアドバイスをした」という「服薬指導料」が含まれている。
本来であれば、投薬時に薬剤師が患者と直接対話をすることで服薬指導の必要性を判断し、そこで初めて「特別指導加算」が発生する。しかし従来の業界の慣習では、「指導した(できそうだ)」という暗黙の了解を前提に、あらかじめ服薬指導料を上乗せする先算定方式がとられていたのが実態だった。当然、これまでの薬局向けシステムもこうした慣習に沿って開発されており、結局は薬局内の作業スピードアップのためのシステムに他ならなかったと言えよう。
「業界の流れは現在時点ではまだまだ途上段階で、薬局側の意識が少しずつ変わり始めたといったところ」(古仲厚史 システム事業本部企画第2課課長)だが、厚生労働省はこうした好ましくない慣習を抜本的に見直し、後算定の確実な実現に向けた監査指導を行っている。「パナシア」開発の契機は、いち早くこの動きに対応するためだった。
パナシアの重要な機能のひとつに「2次元コード入力」がある。患者への診察を行った医療機関(病院・診療所)は、決定した処方内容を2次元コードとして処方せんに印刷する。2次元コードには3900文字以上を盛り込むことが可能なので、処方せんを受け取った薬局側は、正確かつ瞬時に処方内容を入力できる。
結果として患者の待ち時間を短縮し、薬剤師が十分な服薬指導を行うことで医療の質の向上が期待できることから、これからの薬局経営を支援する最大のツールと言えよう。
パナシアでは投薬を受ける患者の氏名、年齢、生年月日、保険の種類などとともに、調剤内訳、服薬指導料の有無や内容、保険の種類などがカード式で表示されると同時に、顧客情報としてデータベース(DB)に保存される。このDBがアイエニウェア・ソリューションズのSQL Anywhere Studioだ。

使いやすさと信頼性を両立したアイエニウェアのDB

シグマソリューションズでは、パナシアの核となるDBの選択にあたり、オラクル、マクロソフト、アイエニウェアの3社の製品を検証した。求めていた条件は、簡単かつ容易に設定ができて、チューニングに手間取ることなく使い始められること。あらゆる検証の結果、「3つそれぞれに特徴と個性はあるものの、我々の最優先の条件にピタリと一致したのはアイエニウェアでした」(田牧学 システム事業本部システム3課課長)。
 オラクルとマイクロソフトは設定が非常に複雑で、一度動き出した後で設定変更するには時間と手間がかかる。一方SQL Anywhereはインストールさえ終わればそのまま使えてそのまま動くといった感覚で、稼動後にDBの構成変更があっても柔軟な再構築が可能だ。拡張性の高さも実証した。
 さらに検証は続いた。DBの容量を膨大にした時の動作性、DB更新中に電源を落とすなどの荒業-あらゆるパターンの検証を経て見えてきたのはSQL Anywhereの高い信頼性であった。

高いコスト効果が最終的な決め手 組込みによるOEM展開も視野に 

  さらに価格面でもアイエニウェアが優位に立った。「スタンドアロンの場合で他社の提示価格はSQL Anywhereの2倍、クライアント/サーバーとなると、システム規模が大きくなるほどその価格差は開き、数倍にまで上がりました」(田牧氏)。設定の手軽さに加えて、価格もDB選択の重要な要素だっただけに、ここは最終的な選定理由となった。
 パナシアの開発段階から、いち早くOEM(相手先ブランドによる供給)の検討を進めたのも、アイエニウェアだった。この場合OEMとは、パナシアというソフトウェアの仲に、DBとして最初からSQL Anywhereが組み込まれている、ということ。つまりユーザーからすれば、SQL Anywhereの存在を意識せずにパナシアを使うことができる。「これがオラクルやマイクロソフトだとそうはいかなかったと思う」と古仲氏は振り返る。

保険調剤薬局チェーンをターゲットにソリューション展開

「医科」と「調剤」の役割を明確に分けている、いわゆる医薬分業率が全国平均で50%程度(処方せん枚数換算)である中、シグマソリューションズの地元秋田県では70%を超え、全国トップだ。しかし、未だに10%台に留まっている県もあるなど地域格差は著しい。特に、都市部から離れた地域では医者と患者が密着している傾向が強く、分業が進みにくいと見られている。
 保険処方せんを受け付け、薬を調剤できる「保険調剤薬局」(ドラッグストアを除く)は現在、全国に4万5000店あり、このうち電算化されているのは3万店といわれる。シグマソリューションズをはじめ、後発組も含めたシェア争いが進む。
 シグマソリューションズでは今後、5~10店舗以上の調剤チェーン店が本部とデータの同期を取ることが可能なシステムや、モバイル対応にも視野を広げて開発していく予定だ。アイエニウェアとの連携についても「今回しっかりとした協力関係ができ上がったので、あとは拡大していけるかどうかだけ」(田牧氏)として、万全の態勢をつくり上げていく考えだ。

服薬指導支援とかんじゃ情報管理機能の充実で医薬分業を推進

今回取り上げたシグマソリューションズの「パナシア」の特徴は、服薬指導料の後算定への完全対応と、2次元コード入力による事務効率の飛躍的な向上だけに留まらない。
 さらに注目すべき点の一つめは、服薬指導支援機能の充実だ。受付時の問診情報、過去の処方情報など、薬剤師が手元に置いて参照すべき情報を簡単な操作で表示することができる。また、患者に対して、ユーザーが独自に撮影した動画を見せながら説明したり、ペンタブレットを使用して薬剤情報文書などに手書きで指導を書き加えるなど、患者に対するわかりやすい説明を支援する機能も充実している。さらに、こういった指導に対する服薬指導料は、随時算定可能なので、薬剤師の指導内容を適切に反映することができる。「患者の求めと同意に基づいて指導を行い、適切な指導料を請求する」という、後算定では当然のルールをシステムで実現した。
 二つ目は患者情報管理機能の充実だ。医薬分業の大きな目的として、患者の薬暦をかかりつけの薬剤師が管理することで、薬の多重投与や重篤な副作用を未然に防ぐことがある。パナシアでは、患者の来局履歴のカレンダー表示(特許出願中)、今回処方と前回処方の並列表示とDo入力(前回処方からの自動転記。特許出願中)、安定暦管理などの豊富な履歴管理機能により、薬剤師が患者の薬暦をすばやく的確に把握して、適切な服薬指導を行うことができる。
 さらに三つめとして、ニーズに合わせた柔軟な出力が可能な点が上げられる。各種日報・月報の出力や、薬袋印刷、都道府県ごとに様式が異なる国保総括表や福祉医療請求書が様式に合わせて用紙に直接印刷できる。
 そして最後のポイントは、データベースを使ったデータ分析機能だ。スタンドアロンでもクライアント/サーバ型でも軽快に動作するデータベースを使って、さまざまな条件で患者情報や会計データを検索・出力できる。出力したデータは、エクセル等に取り込んで分析が可能だ。
 データを活用することで、患者の満足度向上と薬局経営を支援するシステムが、パナシアなのだ。


株式会社シグマソリューションズ 
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1981年、千秋薬品(株)医薬機器課のコンピュータ販売部門と電算室の一部を母体として設立。以来、東北・南北海道地方を地盤として、医療事務の領域を中心としたシステムソリューションの開発・商品化を手かけている。主力商品には、今回紹介する調剤システム「パナシア」の他、歯科システム「WiseStaff4シリーズ」、歯科用レセコンシステム「e-Rippleシリーズ」などがある。