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ラディックス株式会社

「イージーオーダーのパッケージで実現する小規模企業のOA化のワンストップサービス」

 2005年 WEDGE 10月号掲載

自前のシステム部門を持たない中小企業やSOHOにとって、オフィスのOA化のことなら何でも相談できるパートナーは強い味方だ。今回紹介するラディックスは、OA機器、ハードウェアの販売・保守からソリューション提供まで、まさに「OA化のワンストップサービス」で顧客の指示を得て、急速に成長している企業グループである。

顧客の要望に応えて自社開発したパッケージ「BFORTHシリーズ」もその過程で誕生した製品だ。パッケージをベースにした自由度の高いカスタマイズと、ワンストップサービス企業ならではのサポート力で、現在の業務フローを変えることなく、ローコストで効率化を図れる点が高く評価されている。

電話機からネットワークまでOA化のワンストップサービス

ラディックスは、1991年12月、オフィス用電話、コピー、ファックス機器などのOA機器販売、設置、保守を主な業務として創業して以来、一貫して法人向けの情報化支援を総合的に手掛けてきた。コンピュータ技術の進歩に伴い、顧客の情報化支援ニーズも単なるOA機器の販売保守から、PCやネットワークの導入など、IT化のための支援へとシフトしている。同社も顧客の要望に合わせて、取扱品目をPCや周辺機器、さらにソフトウェア・パッケージの開発販売へと広げてきた。また、昨今のネットワーク・サービスへの需要の増大に対応し、1998年7月にはレンタルサーバー・サービス、2003年8月にはISPサービス、さらに2004年7月にはIP電話サービスの提供を開始するなど、まさにオフィスのIT需要に応える形でサービスの幅を広げてきた。
 この10年間で同社の売上げは8倍以上に成長した。そのカギは、ソフトウェア専業メーカーにはない、OA化をトータルに支援するサポート力だ。また、顧客企業の地方支社・支店をきめ細かくサポートするために、全国規模での営業所展開も急速に進めている。こうした新しい営業拠点は、既存顧客のサポートだけでなく、それぞれの地域での新規獲得にも力を注ぐ。
 「10年以上前にFAX機1台を納品したお客様から、ネットワーク構築の引き合いをいただくこともあります。特に最近は、セキュリティ・ソリューション構築やIP電話、VPNなど、ネットワーク関連の案件が増えています。こうした案件まで含めて、分野にとらわれず、オフィスのOA化のご相談を電話1本で承る。”OA化のワンストップサービス”を提供できる総合力が当社の強みです。」(PS事業推進部 山路 武男氏)。新規顧客の開拓も、ソリューション提供やネットワーク構築にこだわらず、OA化ニーズへの対応を前面に打ち出している。「ワンストップサービス」のコンセプトをより鮮明にした営業方針が急成長の秘訣だ。

顧客からの要望で誕生したBFORTHシリーズ

ソフトウェア・パッケージ「BFORTHシリーズ」開発のきっかけも、やはり顧客からの要望だった。当初は他社から仕入れたパッケージを販売していたが、ソフトウェア開発が市場としてこれから伸びる見込みがあると判断し、本格的に自社開発に踏み切ることにした。「責任を持ってお客様に提供するためには、製品の中身まで自社で作る必要があると感じました。また、自社製品であれば、よりきめ細かくカスタマイズできるので、お客様の求めるニーズにマッチするソリューションを提供できるという点も判断した理由です」(山路氏)。
 商品の企画にあたっては、それまでに扱っていた他者のパッケージの仕様や、顧客からの要望を参考にした。また、企業経営の経験がある技術者を開発担当者に抜擢し、ユーザーの視点に立った機能やインターフェイスを最優先に設計した。
 2001年10月、最初の製品「BFORTH販売管理」をリリース。その後2002年4月に「BFORTH仕入れ在庫管理」、2004年11月に「BFORTH給与管理」と、対応業務の幅を広げつつトータル・ソリューションを目指してラインナップを充実させている。
 BFORTHシリーズのユーザーはSOHOから中小企業と、どちらかといえば小規模な法人である。「もともと当社のハードウェアのお客様も、小規模法人のお客様が多かったこともあり、既存のお客様に合わせたパッケージを開発しています」(山路氏)。販売実績はシリーズ全体で600ユーザー(2005年4月現在)で、インストール、導入教育、保守サービスまでトータルに提供している。

小規模システムにマッチしたアイエニウェアのテクノロジ

BFORTHシリーズのバックエンドデータベースとして採用されているのが、アイエニウェア・ソリューションズのSQL Anywhere Studioである。あらかじめソフトウェアに組み込まれているので、インストール時に、データベースを意識する必要はない。
アイエニウェアを採用した理由は大きく2つある。1つめの理由は、ソフトウェア自体の規模とアイエニウェアのデータベース・エンジンがマッチしていたことである。「専用サーバーが必要となるような大規模なシステムは、当社のお客様には向いていません。ユーザー層に合わせて、データベースの存在を意識せずに使える点が適していました」(山路氏)。
もう一つの理由は、開発ツールとしてPowerBuilderを仕様することがすでに決定していたことだ。親和性の高いSQL Anywhereを採用することで、高い生産性が期待できることが決め手となった。「PowerBuilderとの組み合わせであったのでスムーズに開発できました。動作が軽く信頼性が高いことも評価しています」(山路氏)。また、パッケージ製品価格に直接響くライセンス価格のリーズナブルさも、選択時のポイントになった。「現状で十分満足していますが、動作がより速くなればもっと良くあんると思いますね」(山路氏)。

小規模企業向けのERP環境実現が目標

BFORTHシリーズは、パッケージ製品とはいっても、実際には顧客ごとにカスタマイズして導入、教育、保守運営まで含めて提供している。顧客からも、「お仕着せのパッケージとフルオーダーの間の、”イージーオーダー感覚”で使える」と好評だ。「BFORTHのユーザー様には、専用ハードウェア、いわゆるオフコンからの移行や、コンピュータ自体が初めてのお客様もいらっしゃいます。操作を教えれば誰でも使える、分かりやすいインターフェイスを実現しています」(山路氏)。今後のBFORTHシリーズは、3つの方向で拡張を検討中だ。ひとつは、小売業向け対応の強化だ。もともと卸業務対応のパッケージから機能拡張してきたため、今後はPOS対応など小売企業向けのオプションをより充実させていく。もうひとつは、Web対応である。昨年10月に設立したインターネット関連事業の子会社「ライド」で、BFORTH販売管理のWebインターフェイスを開発中だ。
 将来的には財務管理まで追加して、総合ERPパッケージとしての展開も考えている。「販売管理からスタートし、仕入在庫管理、給与管理と対応業務を増やしてきました。今後はやはり、総合的な環境を自社製品でまかなえるよう、ラインナップをそろえていきたいと考えています」(山路氏)。ターゲットは従来の顧客である中小規模の法人だ。
「いきなり大企業をターゲットにすると仕組みが複雑になりすぎてしまします。まずは、従来のお客様に総合サービスを提供して、実績を積んだ上で、次のステップを考えていきたいと思います」と山路氏は語る。具体的なスケジュールは未定だが、5年ぐらいのうちには何らかの形にしたいと意欲的だ。
 地方展開にも積極的なラディックスだが、今のところ代理店制度は考えていない。顧客に十分なサポートを提供するためには、直接顔が見えない代理店精度は限界があると考えているからだ。技術力を高め、顧客の声を取り入れながら、機動力のあるワンストップサービスを展開したい方針だ。「販売管理、給与管理、仕入れ在庫管理などの業務は、内容自体がほぼ定式化されているので、機能的な差別化が難しい分野です。BFORTHシリーズも、パッケージの内容だけみれば、他社のものとそれほど大きく違うわけではありません。我々の強みは、このパッケージをベースに、お客様のニーズに合わせて、ハードウェアやネットワークまで含めたトータルなソリューションを提供できることなのです」(山路氏)。成長著しい同社の主力ソリューションとなるBFORTHシリーズの基盤を、アイエニウェアが支えている。


ラディックス株式会社
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋1-5-10 教販九段ビル
TEL 03-5210-7733 (代)
http://www.radix.ad.jp

企業の情報化サービスのトータル・プロバイダとして、ハードウェアの販売・保守からソフトウェア開発、ネットワーク関連事業まで手掛ける。2004年10月、グループ管理全般を行う「RADIX・CG株式会社」、法人向け情報化支援事業の「ラディックス株式会社」、インターネット関連サービスの「ライド株式会社」の3社に分社化し、より高度なサービスを提供するための連携体制を整えた。